社会人からパイロット

社会人からパイロットを目指す方へ、そのヒントと応援をするブログです。航空ファンの方にも楽しんでもらえるよう、業界の出来事に雑感を交えながら紹介していきます。

社会人からパイロットを目指す(2)

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『自家用操縦士資格』と訓練費用について整理していきます。

はじめに断っておきますが、どこの訓練所が良いとかというアドバイスは差し控えます。ご自身で判断し、自分にとって最良と思われるところで訓練をして下さい。

どこの訓練所も商売なのですから、自社で訓練するメリットばかり言ってきます。なので先輩がいればその人に聞くのが一番いいですし、そんな人がいなくても今はネットの時代です。調べまくりましょう!(雑誌等の記事もその殆どは広告ですから、そのまま受け取らない方が賢いかもしれません)


日本人インストラクター(CFI)でも日本の事業用を持っている人、またはエアライン経験者に教わるのがベストです。


将来的にエアラインを目指す、または使用事業で飛ぶにしてもこの『自家用操縦士(単発)』が航空従事者資格のスタートラインです。これがなければ始まりません。ではこれをどこで取るのか。

経済的に余裕のある方であれば日本国内で週2日程度の訓練時間が確保できれば、恐らく1年前後、500万程度で取得が見込めると思います。また海外に比べ、平均的に高いレベルの教育が受けられると思います。(詳しくは各訓練校に問い合わせてください)

でも大方の人達はそんなに費用を掛けられないはずです。そこで『海外』に目を向けることになります。これもネットで検索すると色々な国が出てきます。それぞれメリットデメリットがあります。

以前は『中国なら2週間で!』みたいなところもあったのですが、色々な事情で今はないみたいですね。そもそも2週間程度でできるようになる代物ではないんです。取得期間と見せかけの費用に騙されないようにして下さい。結局何も得られなかったという人を多く知っています。

個人的にはアメリカFAAをお勧めします。はやり航空大国アメリカです。将来的にFAAの事業用ライセンスを取得しておくと意外と使い道があったりもします。そして日本での書き換えもスムースですし、英語のブラッシュアップにもなり、一石二鳥です。あとはニュージーランドやカナダあたりでしょうか。

英会話スクールに通っても結構費用って掛かりますよね。飛行機の勉強をすると、その何倍も英語が出来るようになります。私も英語は苦手でしたが(高校生レベル)何とかなりましたし、航空英語証明もレベル4ですが維持できています。勿論その後の継続努力も必要ですけど。

この段階ではどうしても『早く・安く』というところに目を向けがちですが、初めて飛行機を学ぶ最初の環境・考え方というのは、皆さんが想像するより極めて重要で、後々響いてくることを絶対に忘れないでほしいと思います。初めて教わる教官や環境の影響はホントに大きいですし、また自分では分からないので厄介です。

自家用(単発)の費用は概ね100万~150万程度だと思ってください。ただこの費用も「一気に払え」というところは少ないので、フライト10時間毎とか、海外ではそんなスクールが多いと思います。安易に東南アジアの国でライセンスを取得するのは、よく検討してからにした方が良いと思います。

仕事を辞めて取り組む方は簡単です。エアラインを目指す方は、半年程度渡米して、自家用(単発・多発)、計器の取得と日本の事業用ライセンスに必要な『時間付け』をして来れば良いです。ですが僕はせめて自家用までは、現在仕事をお持ちの方は仕事を続けながら訓練する方がリスクが少ないと思います。

その場合、夏季・冬季休暇・ゴールデンウィーク等を中心に、場合によっては週末の連休や有休を何度か使えば1年~2年で十分取得が可能です。どの程度の飛行時間が必要なのかというのは自分で調べて下さい。ですがそれはミニマムです。実際はそれより多くかかる方が殆どです。では如何にその期間と費用を短縮するか、多少そのコツがあります。

① 超短期渡航(3泊とか4泊)を繰り返せる方は、グアムやハワイでの訓練だと移動時間に無駄がない。(ただし訓練費若干高め)僕の頃はグアムには多発機がなかったですが、今はどうかは分かりません。

アメリカ西海岸は冬季に入ると天候不良で訓練不可となる日が多い。(年末休暇を利用する方は注意)またロスやサンフランからも多少離れるので、短期渡航の人には向かないです。ただし飛行訓練費は安い。

日本でできることは全て済ませておく。予習・復習はもちろん、向こうに行ってる期間だけ勉強すれば良いという考えだととても時間が掛かります。知識だけは完璧にしておく、前回の失敗は二度としないうイメージフライトを繰り返す。と言っても人間弱いもので仕事に追われているとなかなか出来ないものなんですけどね。しかし同じ失敗が続いてしまう人は今後の訓練についていけないかもしれないです。

フライトスクールとは直接営利関係にない人からアドバイスを貰う。これがあるのと無いのとでは結果的に大きく差が開きます(費用面も内容も)とにかく先輩に聞くことが一番です。探せば日本在住のCFI(操縦教官)やAGI(学科教官)もいたりします。もしそんな方と知り合えたら、週一回でも個人教授をしてもらうとモチベーションも保てますし、日本にいる時に実技以外は一気に終わらせてしまうこともできます。またスクール目線ではない、公平な目線でアドバイスもくれるでしょう。この場合でも日本の事業用ライセンス保持以上の方にお願いしましょう。

日本で出来る部分の学科試験対策は済ませてしまう。これも渡米してから始めるとこれだけで何か月もかかってしまう人もいます。下手すると費用も数十万という単位でかかります。どんどん勉強を進めて、分からなところをまとめておき質問、チェックしてもらうというスタイルが良いです。

FAAの学科試験は教官からサインさえもらえればいつでも直ぐに受けることができます。下記3冊があれば教材としては十分です。これらはネットで購入できますので紹介しておきます。あとは航法の分野でプロッターと航法計算盤が必要になりますが、これは簡単なのですが、使い方を教わらないと難しいでしょう。教官が見つかったらお勧めのものを聞いて購入してください。

勉強の進め方としては一番左側のものがFAAが監修している参考書です。これで飛行機の仕組み、空域、航空気象などを理解してください。非常に分かりやすいです。そしてそれを問題集で練習していきます。(現在は95%はこの問題集からの同じ問題の出題と聞いています。これを理解して完全に覚えますこれに時間が掛かるので日本で済ませてしまう)そしてFARと書いてあるものが航空法やルールが纏まっているものです。その分野からの出題もありますので、関連付けて勉強します。

さすがにそこまで…と思う人は一番左のPilot's Handbookを読んでおくだけでも座学の効率は全く違います。完全に理解することは難しいですが、まず自分で勉強しておく習慣がパイロットには必要な資質のひとつです。

  

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働きながら資格を取得する人にとっては、如何に時間的・エネルギー的コストを掛けず質の高い勉強が出来るかどうかがカギだになります。もちろん多くの費用さえ払えばイチから手解きしてくれますが、最短ルートは『今できることは済ませておく』これに尽きます。

そして最後に費用の捻出の仕方です。個人により事情が異なると思います。私は投資と仕事を増やして無借金でやりました。働く時間を増やすと時間が無くなるんです。なので、投資の勉強もしました。如何に効率的に学習できるかが重要なポイントになってきます。

今になってみれば、ローンを組んで一気に勝負をかけるのも悪くなかったと思います。でもそれは結果論です。まず自家用ライセンスを取得して、その先を考えていくのが賢明な方法だと個人的には思います。そして働きながらでも必要なライセンスは全て揃え、就職することもできます。

次回は実際のアメリカでの飛行訓練から試験について書いていきます。